楽譜出版会社の選び方

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楽譜はどこの出版会社を選んだら良いのか?いくつかアドバイスをします。

  1. 楽譜には原典版と解釈版がある。.
  2. 日本出版会社と輸入版の違い
  3. ショパンの楽譜だったらこれがお勧め
  4. ベートーベンはこれがお勧め
  5. ラヴェルはこれがお勧め
  6. ドビュッシーはこれがお勧め
  7. ラフマニノフ、スクリャービンだったらこれがお勧め

楽譜には原典版と解釈版がある。

多きく分けて2つ種類があります。

”原典版”というのは作曲が書いたことしか印刷していないオリジナルの楽譜。

一方”解釈版”というのは作曲家が描いたこと以外に、わかりやすく色々注意事項を書き加えている解説書みたいな参考書楽譜。

一見解釈版の方が良い感じがしますが、注意事項を書き加えたことが果たして本当に正しいのかは誰も判断はできません。なのでそれを各自判断してもらいたいがために、作曲家が描いたこと以外に書き加えないのが”原典版”です。

理想としては私は原典版と解釈版の両方を持つのが良いとは思うのですが、まずは原典版を求めた方が良いのでは?と思っています。

そのあたりはあくまでもその作曲家の楽譜を買うのかで変わってきます。


日本出版会社と輸入版の違い

何となく日本製の楽譜だと内容があまり良くないと思われがちですが、そうとも言い切れません。

青い表紙の全音楽譜などは、作曲家の種類によっては良い楽譜もあります。

ただ、一般的に特殊な解釈版などは別として、ただ安いから、という理由で全音楽譜、音友楽譜、春秋社楽譜をお求めになるのは正直お勧めはできません。

全音、春秋社などはほぼ全作曲家の楽譜を揃えてはいますし、値段も安いし、非常に丈夫ですが、一方で中には間違った記述もあります。

結局、全音楽譜を買ったけど後から輸入版を買ってしまった、などということもあり得ます。

ショパンの楽譜だったらこれがお勧め

何と言っても一番のお勧めはポーランドで出版されている

エキエル原典版

正直これ以外にあり得ません。

金額は確かに国内大手全音や音友より高いものの、近年において一番ショパンの手書き楽譜を徹底的に研究して作り上げた楽譜なので一番信頼性があります。

また、付録にエキエル氏からの音楽アドバイスが英語ですが書いてあり、この内容も非常に貴重です。

また指使いにおいても非常に実践的に扱いやすい内容です。

一方、昔からあるパデレフスキー版と内容が違うところがあり、それが論議を読んでいますが、ショパンが書いた本当の音楽がこれ(エキエル版)だった、という研究内容であり、今後それを受け入れるしかないのではないかと思います。

私は有無を言わさず、これをお勧めします。

パデレフスキー版

エキエル版の次にお勧めはパデレフスキー版です。

日本では確かヤマハからも今でも出版されていると思うのですが、内容的は一応信頼できる内容です。ただ、エキエル版とごく僅かに違っていることもあり、論議になってはいますが、エキエル版と金額的にはそれほど変わらないので、パデレフスキー版を買うのでしたら、解説付録もついているエキエル版を買うことを私はお勧めします。

春秋社、全音楽譜等

日本国内出版会社ですが、一応無難ではあるので大丈夫ではあるのですが・・・

思わぬところで原典版と違っているところもあるので、要注意です。

まあ趣味的に弾く分には一応問題ないですし、十分ですが・・・

日本の出版会社とパデレフスキー版との金額を比べて・・・それほど大差ないのでしたら、私はパデレフスキー版をお勧めします。

間違いなく内容は信頼性がありますし、非常に楽譜は見やすい印刷だと思います。

パデレフスキー版を買って、”失敗した” ということはありませんが、全音、春秋では”失敗”することはあり得ます(汗)。

コルトー版

アルフレッド、コルトーというピアニストが書いた解釈版です。

賛否両論あるかと思いますが私はお勧めします。なかなか参考になる解釈が書いてあり、読んでいるだけでも楽しい解釈版です。

ベートーベンはこれがお勧め

ウィーン原典版

私はここの赤い本をお勧めします。

指使いとかは日本人のサイズ向きな感じだと思います。

楽譜もとても見やすい。

ラヴェルはこれがお勧め

ラヴェルの版権はつい最近切れたのでさまざまな出版会社が出していますが、私は圧倒的にこのペルルミュテール版(音楽之友社)をお勧めします。

ペルルミュテールはラヴェルの弟子だった人です。

指使いにおいては日本人向きな指使いに、奇想天外な弾き方の紹介、ラヴェル直伝の指導内容など。

一方、ラヴェルの原典版はDURAND社、MAX ESCHIG社など、もちろんありますが・・・

私は思うに正直、この原典版は指使いすら描いていなくて、この原典版を買う価値は全くないと思っています。(ちなみにペルルミュテールは原典版に書き込みをしてる状態です)

ドビュッシーはこれがお勧め

ドビュッシーの原典版も同じくDURAND社、MAX ESCHIG社などはあるとは思うのですが私自身は

中井正子監修のシリーズを圧倒的に勧めます。

奇想天外な発案の引きやすい内容、的確なペダルの指示など、お勧めです。

ただ、内容的にペダルなど、書き込みがなされているので、本物なのか、それとも中井さんの書き込みなのかわからない時があるので、そのために原典版を持つことは良いと思います。

もちろん

安川かずこ版も一応業界では有名ですが、私自身は中井正子シリーズが良いと思っています。


ラフマニノフ、スクリャービンはこれがお勧め

まず、ラフマニノフは現在、版権が切れたのであらゆる会社から出版がなされています。

昔はboosey&hawk社が有名でしたが

、版権が切れた現在では私自身は全音の平井丈二郎監修の本で十分だと思っています。

指使いも日本人向けの内容ですし、多少の解説書もあります。

基本的に原典版と全く変わらない内容だと思います。

これは同じくスクリャービンも同じことが言えます。スクリャービンにおいても同じく平井丈二郎監修の楽譜が出ていますが、これで十分であり、あえて輸入盤を購入しなくてもp良いのではないか、と思っているほど、この平井丈二郎監修の楽譜はよくできています。

現在では単純には、ラフマニノフとスクリャービンにおいてはさらに細かい解説、解釈付き楽譜が欲しいところなのですが、現在ではまだ出ていないようですのでこの楽譜で十分なのではと思います。