電子ピアノってどうなの?
今回、ピアノを2週間、修理に出すことになり、手元の電子ピアノで練習する羽目になったのですが、それにより色々わかったことがありました。
果たして電子ピアノで練習はできるのか?
それを今回説明していきます。
- 電子ピアノと本物のピアノの大きな違い(サイズ、値段)
- 音に違いの決定的な内容
- 電子ピアノは無数の硬い、柔らかい音色を作ることができない。
- 電子ピアノのペダルは単純なサスティーンペダル(音を伸ばす)でしかない。
- 曲の中での電子ピアノとグランドピアノとのペダル音の違い
- 電子ピアノでは音色の変化ができない。
- 高価な電子ピアノでもダメなのか?
- ソナチネレベルに到達したら音楽面の習得にはグランドピアノでないとできない可能性が出てくる。
- ショパンの曲の音楽を取得しようと思ったら100%電子ピアノでは無理。
- ピアノが進歩しない、興味が湧かない理由はもしかすると電子ピアノやアップライトピアノを使っているからかも知れない。
- グランドピアノの最小サイズの性能は?
- では電子ピアノは全く価値がないかと言えば・・・
- 最終手段!自宅事情でグランドピアノが置けない方!
1.電子ピアノと本物のピアノの大きな違い(サイズ、値段)
まず、外的な面、金銭的面においての違いです。
サイズは何と言っても違いすぎます。もしグランドピアノでしかも程々のサイズとなれば裕に2mぐらいの長さになってしまいます。
セミコンサイズともなれば227cmです。しかも幅が150cm。これはあまりにも部屋のスペース上かなり占めます。
狭いスペースが当たり前の現代ではグランドピアノはあまりにも大きすぎます。
また金銭的にも高値です。おおよそ200〜300万円は最低でもします。
これはもはや車を買う感覚でしかありません。
電子ピアノはどんなに高くても100万円を上回ることはないと思います。というか一般的にはせいぜい20万円で、最近では5万円程度の十分な性能の電子ピアノもあります。
しかも調律も要りません。
さまざまな点で考えれば現代の半導体技術の塊の電子ピアノの方が有利に言えるのですが・・・。
2.音に違いの決定的な内容
さて、ここまでの内容では電子ピアノがかなり有利なのですが、それでも現代ではいまだに本物のピアノが現存している理由を述べます。
やはり本物のピアノと電子ピアノとではあまりにも音の質、響きの点で違いすぎるからです。
フルコンサートピアノともなれば、全長275cmあるのですが、その大きな箱の中では響きの音が作られます。
この響きの音を作るのは奏者なのですが、闇雲に鍵盤を叩いても良い音は作れません。
単純にやかましい音しか出ないのですが、ここで奏者はさまざまな小さい音、大きい音の無数もの組み合わせを行なって、業界でいう「音色」の作成を行います。
グランドピアノは硬い・柔らかい音を無段階で作ることができる。
この音色の操作はある程度のレベルの奏者でないとできない可能性はあるのですが、音色とは単音のみで形成されるのではなく、連続の音、和音の音等、2つ以上の音の組み合わせで生まれます。
その時、音色は硬い音、柔らかい音、この組み合わせでできるのですが、グランドピアノぐらいになると、この硬い、柔らかい音の形成が非常に無数段階で作成できます。
ピアノの音色というものは現代では決して解明されているものではなく、不思議な部分もありますが、どちらにしてもそのような音色はあの大きな箱の中で形成されます。
無駄にあの大きな木の箱は不必要ではないようで、ここが電子ピアノとの決定的な違いです。
3.電子ピアノは無数の硬い、柔らかい音色を作ることができない。
ところが、電子ピアノは基本的に音色の形成ができません。
電子ピアノは一応、フルコンピアノから音のサンプリングを取って形成されているので、あらゆる強弱の音のサンプリングは入っているはずなのですが、決して内容的には完璧なサンプリングではありません。
単純には鍵盤を強く弾いても、グランドピアノのような鋭い音が発生しません。
一応鋭い音は出るには出るのですが、中途半端な鋭さの音で、その鋭い硬い音もグランドピアノの場合は無数段階でさまざまな硬さ、鋭さの音が出せますが、電子ピアノはそこまで細かい調節ができません。
逆に弱く弾くことにより、柔らかい音を生み出したいのですが、グランドピアノの様な無段階の柔らかさのある音を電子ピアノは形成することができません。
どちらかというと、硬い音、柔らかい音、これらは1種類ぐらいしかサンプリングで用意されていない気がします。
これでは音色の作成をするには材料の音が少なすぎるのです。
結果、電子ピアノは下手に乱暴に弾いてもそこそこに上手く聴こえてしまうし、どんなに上手く弾いても何も変わりません。(実際本物のピアノで弾くとその差が出てしまう)
4.電子ピアノのペダルは単純なサスティーンペダル(音を伸ばす)でしかない。
グランドピアノのペダル効果は抜群です。
ペダルによりかなりの倍音が発生し、これが豊かな音を作ります。
倍音の量も強く弾いた場合と弱く弾いた場合とではやはり違っており、この辺りも無段階の倍音の量の調節が可能です。
この倍音の量の調節により、いくつもの硬い・柔らかい倍音の発生ができます。
しかし、電子ピアノはこの倍音の発生ができません。
単純にはサンプリング音の採取の時にペダルを踏んで倍音を発生させながらサンプリングをしたのだと思います。
なので単音で弾いた時でも、豊かな音が出てくるのですが、多分3種類(強い、弱い、中間)のみのペダル音しかサンプリングされていない可能性があるのです。(グランドピアノは実際は硬い・柔らかい・鋭い・等さまざまな無段階のペダル音を作ることができる)
しかもグランドピアノと電子ピアノとの倍音の発生量はかなりの差があり、電子ピアノの倍音量は大して多くありません。
つまり、グランドピアノのように単音で弾いた時とペダルを弾いた時の倍音の違いは電子ピアノでは考慮されていません。
単純に電子ピアノのペダル効果は出てきた音を単に伸ばす、ことしかできません。
しかしグランドピアノはペダルを踏まない音、踏んだ音の違いは歴然です。
それがここの動画によるペダル音です。