どうしてこういう考えがごく一部の業界に蔓延っているのかは分かりません。
結論としてはロシアだけというわけではなく、どこの人種国籍であっても奏法、音色の研究は進んでいます。
しかし誰でもオカルトな話や怪奇現象、心霊現象に魅せられることはよくあります。
誰でも科学的に証明できないことになんらかの魅力を感じてしまうのが人間。
そうやって古代から人間は例えば自然界の不思議な現象を”神”と捉えてきました。
それは現代でもあって、たとえばエジプトのピラミッドがどうやって作られたのか?
これはいまだに解明されていません。
しかしだからと言ってそれらが
”宇宙人が作った”
と結論づけるのはナンセンスで、解明を諦めているだけです。
同じように巨匠による、うまい演奏家があった時、それを
”極秘のテクニックや特殊な奏法があるからあのような音色が生まれる”
というのは上記の内容と変わりありません。
もちろん聴衆はそれで構わないと思います。
お金を払って不思議な雰囲気を味わせてくれる。
もちろんですが・・・しかし学習者と教育者はそういうわけにはいかない。
どうしてあの難しい曲を弾けるのか?どうしてあのような音色が出るのか?
それらはもっと科学的にピアノの構造、音色を研究して考えなければいけないのです。
しかしそこに
”何か不思議な力が宿っている、それが某重力または某ロシア奏法だ!”
というのはエジプトピラミッドの宇宙人によるオカルト話と同じ発想です。
現代ではロシアだけでなく、アメリカをはじめあらゆる国でピアノ教育の研究がなされています。
確かに一時期はソビエトにおいてのピアノ教育は抜きん出ていた時期はあったと思います。
ですがそれは国家プロジェクトのもと、英才教育を子どものうちから始めていただけで、そこに特別な秘密はなかった状態です。
そもそもソビエト国内の最高級ピアノはスタインウェイであり弾いている人間も同じ地球人だったので、そこから何か秘密が作られることはないのです。
テクニックや音色に関してもピアノの構造も含めて科学的、医学的に研究が進んでいます。
根本的に科学的な発想を持てば正しい奏法は何かを知ることができると思うのですが・・・。