Fuck you invention(ファックユー、インベンション)=インベンションやらせてもうまくいかない(汗)
ついこの間のレッスンの時である。
「先生!うちの子供にバッハ、インベンションをやらせてください!。私、バッハがすごい好きなんです。グレングールドっていうピアニスト知ってますか?」
「あ・・・あ、はい、知ってますが(汗)」
「あんな演奏うちの子にさせたいんです!きっとバッハ好きになってくれると思うんです!」
「しかもバッハって音楽の基礎なんですって?バッハが弾けずして、ベートーベンもショパンも弾けないって、聞きました。ショパンやラヴェル、リストばっかりつまみ食いしていると、ろくなピアノ弾きにならないって」
・・・それって俺じゃん・・・汗・・・ったく、まるで俺がガキの頃師事していた60代音大教授と同じこと言いやがるな。あんた、まさか教授の輪廻転生=生まれ変わりじゃないだろうな?(汗)・・・
「ぜひバッハを得意にさせてあげたいんです!」
「はあ・・・汗。わっ・・・わかりましたっ・・・」
・・・あーなんでまた厄介な仕事引き受けちまったんだろう(汗)ただでさえ他にもインベンションが弾けなくて大変な思いしている生徒がいるっていうのに・・・。
・・・と・・・その時・・・布団の上で
あー(汗)夢か・・・あー夢だ。あーよかった。あー引き受けなくてよかったー(汗)。
汗びっしょりである(笑)
この悩み、ピアノ講師ならわかるだろう。
バッハは思った以上に難しい。
確かに奥は深い。でも難しい。
特にインベンションって簡単に見えて、音楽的に最難関の曲はない。
我々大人の講師がこの曲に向き合っても、なかなか納得のいく演奏ができるもんじゃない。
インベンションに比べたら・・・リストの愛の夢とかショパンの幻想即興曲とか子犬のワルツなんて(テクニックはさておき)音楽的に単純そのものでしかない。
朝飯前どころか夜のおやつ程度である。
インベンションはとにかく、まず細かい表現が必要。
加えて、2声のバランスが半端なく難しい。
あの2声は絶妙な宇宙の法則的なバランスに乗っている。
あれは、子供が弾くには難しすぎる。
そして・・・ペダルが使えない(汗)。
こういうあたりで、正直子供にこの曲をやらせると、大概、うまくいかない。
うまくいかないだけじゃない。
大概、不人気(笑)。
誰もこの曲集「弾きたい!」という子供はいない。
子供に
どっちの曲が好きですか?って聞いてるようなもんだ(汗)
子供の指導の時に、実は大事なことがある。
それは・・・モチベーション。
生徒にやる気を持たせなければ、ピアノに向かってくれない。
いかにモチベーションをずっと高く持ち続けさせるか?
これは大人も同じだとは思うのですが・・・。
このモチベーションを無視していいと思うのなら・・・
生徒に与える曲の選曲は非常に簡単です。
つまり・・・
ソナチネ。ツェルニー。インベンションにシンフォニア、平均律曲集。ベートーベンソナタ。
これだけで十分です。これ以上の曲を与える必要なし!
ショパンのワルツなんていうのはベートーベンのソナタを25番まで全曲やらせてから取り掛かればよし。
これで音大受験はバッチリです!。
・・・これが昔のしきたりの選曲だったわけですが・・・。
話を元に戻します。
結局、インベンションとかバッハの曲は大人にならないと正直、まともに弾けないし、理解もできないんじゃないかと思っている。
しかし、音大受験ではバッハの平均律が課題なんだよね(汗)。
本当に理解して弾いてんのかな?と、時々思う。
なんでまた難しい曲をバッハは作って、そしてなんでまた難しい曲を入試の課題曲にすんだろ?
インベンション、シンフォニア、平均律曲集。
いずれも私にとってはfuck you レベルでしかない。