2012年、ピアニスト巡礼の旅
- ピアニスト巡礼の旅 プロローグ
- ピアニスト巡礼の旅〜いつもの懺悔コーナー〜
- 自分に対しての懺悔part2
- 英語が通じない(汗)
- 観光古都、クラクフへ
- あなたはどんな贅沢をしたことがあるだろうか?
- アポなし突撃特攻玉砕取材
- アポなし突撃特攻玉砕取材part2
- ポーランドのピアニスト達
- ポーランドのピアニスト達(今度こそ編)
- ショパン生家への旅
- ショパン生家での演奏会
4月下旬のある夜、私はwebサイトでとある航空運賃を見ていた。
5月のヨーロッパ航空運賃を破格の値段で売り出すというダイレクトメールを受け取ったからだ。
まあでも・・・ゴールデンウィーク時期はさすがに高いだろうなあ。
何たって通常、ゴールデンウィーク時期のヨーロッパ航空券は18〜20万円はする。
土日発だと24万円なんてざらだろう。
とても普通の人が買う金額じゃない。・・・そう思っていた私の目に飛び込んだのは・・・なんと!・・10万円の航空券だった。
え?・・・確かにゴールデンウィーク時期の始まりから少し後ろにずらしているとはいえ、10万円・・・??。
現在、ピアノを購入したおかげですっからかんの私だったが、さすがに、ゴールデンウィーク時期に10万円。。。
10万円の航空券は年間を通してそう滅多に出ない。今年の冬は原油高でヨーロッパではマイナス20度まで下がる2月の厳冬時期でも13万円だったのだ。
有無を言わさず、すぐに取ってしまった。
なあに・・・あとは旧共産圏あたりでも行けば物価の関係で安く上がる。
それ以上に私は身軽な身分でもあるわけだし(?)
行き先は・・・そう、前から一度は行ってみたいと思っていた土地・・・。
もしもあなたが,ピアニスト,もしくはピアノ学習者、はたまたピアノ愛好家ならば、自分が好きな作曲家が生まれた国に行ってみたいと思う事はないだろうか?
その作曲家の国や住居に行けば,なにがしかのものが得られる。
そして、日本とは違った、なにがしかの核心も、得られるだろう。
私はそれを「ピアニスト巡礼の旅」と呼んでいる。
キリスト信者やユダヤ信者がエルサレムを目指すのと同じく,ピアニストも訪れるべき聖地はいくつかあるのではないだろうか?
今回、その巡礼の旅と同時に、前から狙っていた、現地での突撃アポなし取材活動(?)もする事に決めた(これは追って詳細をお知らせします)
こうして、私は突然の行動で何も準備しないまま、旅券を獲得してゴールデンウィーク時期に海外に行くことを即効で決めたのだった。
旅行日程からわずか2週間前の出来事だった。
そう、人間、思い立ったが吉日、なにも考えずに行動するが一番である。
考えずに行動するのは若者と、馬鹿者の特権である。
そう、後で起ころう、どんなトラブルに遭遇しても、後悔せずに、うろたえず突き進む事。
これ、若もんと、ばかもんの特権なり(笑)
彼はここで生まれたらしい・・・。
2012.5.13
ピアニスト巡礼の旅〜いつもの懺悔コーナー〜
ルンルン気分で飛行機に乗る前には出国審査と、そしていつもの・・・。
そう、出国審査はいつもの様にパスポートを提示して国外に出れる人物なのかを問う場所。
そして、その審査が終わると見に飛び込むのがいつもの・・・。
また何を毎回、変なの写してんの?と言われそうだが、ここは避けて通れない。
1.自分は今まで精一杯やってきたのか?
2.生徒から「このニセモノ野郎!」と言われそうになったことはないのか?・・・
3.自分がニセモノと、ばれない様にせせこましく、小細工をしながら指導してこなかったか?
おまけに今年はさらにこんな但し書きもあった。
私にはどーしても、こういう但し書きにしか見えません(汗)
うーん、私の教室で唯一、インチキでないものはピアノのcs2と今では手に入らない、この象牙鍵盤。
ピアノだけはインチキではないとハッキリ言えるが…では自分はどうなのだろう・・・汗
全然関係ないが、こういう時など、脂汗が出る時には象牙鍵盤は滑らないのでうってつけだ。
先を急ごう・・・。
今回はKLMのwebサイトで買った航空券だ。
webサイトで直接航空会社から買った場合の利点は、座席が事前にすべて選択できる事。
しばし、懺悔は一旦お預けということで、おいしい機内食でゆっくり舌づつみをしよう。
2012.5.17
自分に対しての懺悔part2
いや決して生徒に対しての懺悔が済んでいるわけではないのだが(笑)自分に対しての懺悔(?)の気持ちの方が最近はよっぽど強い。
今まで自分自身はめいいっぱい頑張ってきたのか?堕落してこなかったか?
生徒に対しての怠慢指導なんていうのは(?)まあ次回で挽回すれば良い(汗)
この世界、取り返しはできる。今回のレッスンでうまくいかなければ次回で挽回指導をすれば良い。
それより自分が自分なりの方法で指導して、あとで生徒から(親から)クレームをいわれるのは仕方がない。
何たって自分が今までの経験と知識、研究、及びノウハウで最良の指導を施行して、それで納得させられなかったのなら仕方がない。別に後悔も懺悔もありゃしない。
あるのはその後、生徒が指導者を替えて、その後、よりベターな指導を受けられる事を願うばかりである。
しかし、自分自身の研鑽に対しては・・・これは多いに懺悔である(汗)
正直に言おう。私は20代の時は逃げていた。
ピアノが弾けない自分に将来を諦めてただ、何もせずに惰性で生きていたと言える。
別にその理由を他人とか、社会のせいにするつもりはない。
悪いのは自分だ。
その挽回を、仕事がうまく回り出した30代後半から達成したかったが・・・やっぱり未だにうまく挽回しちゃいない。
しかし、それを才能とか、素質とか、忙しさのせいにするのは・・・やっぱり逃げなのだ。
まだまだ自分は甘い。まだまだ詰めが甘すぎる。
今まで自分が成し遂げてきた事なんてめぼしいものはなんにもない。全くもって情けない軌跡だ。
これから自分に何ができるんだろう?
そう思いながら飛行機は中継地点、アムステルダムに着いてこれからいよいよピアニスト巡礼地へ向けて、乗り換えだ。
アムステルダム空港内
アムステルダム空港内までは治安は保たれているので、唯一不便な事と言えば、気軽におにぎりとかお茶漬け、おしんこ、さらにシャケやアジの開きがもう食べられないという程度だ。
しかし、ここから先は未知数の不安要素いっぱいの世界だ。
これが未知数の世界への飛行機、ポーランドはワルシャワ行きのドメスティック欧州路線。
ここからが緊張の瞬間だ。
そう、ピアニスト巡礼の地、すなわちショパンの生まれ故郷、ポーランドへは、初めてである。
ウィーンとかプラハとか、そういうたぐいは、いわば私にとっては伊豆か八ヶ岳高原に行く様なもの。目をつぶってでも空港から市街地のホテルまで行ける。
しかし、ポーランドのワルシャワは初めてである。
ポーランドはヨーロッパの中では比較的治安は良いと言われてはいるが、それでもワルシャワは首都である。
たいがい首都は治安が悪く、それだけでも不安要素なのに、さらに今回のワルシャワ行きの飛行機は午後10:20に着くらしい。
多分空港を出て、まごつきながらワルシャワ市街に着くのは夜中の12時近いだろう。
おまけに、ポーランドは旧社会主義国家だ。多分いろいろと不便な面があるに決まっている。
不安要素を抱えながら・・・まあでも何とかなるだろう・・・という楽観的な気分は・・・しょっぱなからくじかれた!!!
ワルシャワ空港内。ここまではルンルンで良かったのだが・・・汗
2012.5.20
英語が通じない(汗)
そう、空港までは良かった(笑)
空港内は比較的英語表示があるし、空港内売店の姉ちゃんまでは英語が通じたので市街地までのバス券を買えたのだが・・・空港を出たら・・・これが英語表示が全然ないのだ(汗)
バスの時刻表も全部ポーランド語だ(汗・汗)
おい!なんで英語表示がないんだ!?
それでも空港から出てくる人は往々にして英語が話せるので、なんとかそういう人を捕まえて市街地までのバスはわかったのだが・・・さて、一旦バスに乗ったら、中は何も英語表示がない(汗・汗・汗)
やっぱりなんとか英語が話せそうな若者を捕まえて、どこの停留所で降りるのかを聞いてなんとかホテルのある停留所がわかったのだが・・・。
治安も思っていたよりワルシャワの夜は危険でなく、むしろ地元、相模原駅周辺の方が(自分も含めて)ヤバい人が多い方で、少しは安心したのだが・・・。
しかし、翌朝、今度は鉄道でクラクフという街に向けて移動しようとしたのだが、これがまた・・・切符売り場のおばちゃんが全く英語が通じない(汗・汗・汗・汗)
だってあなた・・・ここはワルシャワという首都のさらにワルシャワ中央駅という、ポーランドで一番大きい終着駅でっせ(汗)
何で英語が通じないの(泣)
もちろん、日本の首都、東京駅の窓口で英語が通じるかと言えば、それも確かに怪しい。
しかしここは陸続きのヨーロッパ。鉄道でひっきりなしに、ドイツ人、イタリア人、フランス人がやってくる。
そういうヨーロッパ圏ではヨーロッパ圏共通の言語として英語を使うという決まりがある。
なので英語はとても便利な言語だし、日本人も英語をマスターすればヨーロッパでは何も怖くはない・・・はずだったのだが・・・。
いくら自分が乗りたい列車を英語で言っても向こうは「はあ?」という態度だ。
自分が乗りたい列車はあと5分後に出発だ。なんとか乗りたい・・・。
しかしいっこうに話が通じない(汗)
・・・とこの時、やはり同じく若者が横から英語で切符売り場のおばさんにポーランド語で通訳して話してくれて・・・なんとか助かった!。
以後、こういう状況が何度もあったが、本当に地元の若者には助けてもらった!
とにかくポーランドではおもに中高年には英語が通じない。
かといって簡単なドイツ語も通じなかった(汗)
つまり・・・中高年にはポーランド語しか通じないという事だ。
まあそれでも若者は英語がわかるので何とかなっている。むしろ自分の方が英語が下手なくらい、若者の英語力は達者だ。
問題はこの国の英語表示のなさと、駅やバスなどの職員の英語力のなさだ。
もちろん、職員でも若ければ英語がわかるので問題はない。
しかし、切符売り場で職員がおばさんだと・・・これは一巻のおしまいだと思っていい。
まず、英語表示のなさという点では、今まであちこち行った国の中ではダントツで英語で書かれていない!
もちろん、他の国でもそういう事は珍しくはない。ただ・・・どう考えてもその頻度が多すぎる。
どう考えても、駅や停留所で立ち止まって「どうしよう・・・」と、途方に暮れる事が多かった。
加えて職員に「英語で話す必要性はない」という指導があるのだろう。
たぶん、ポーランドという国はあまり国外からの観光客を呼び込む事に固守していないようだ。
それもそのはず・・・ここは旧社会主義国なのだ。
旧社会主義国は往々にして、必要以上のサービスなどに感心がないし、お金を儲けようという気はさらさらない。
与えられた仕事を黙々とこなして・・・ではなく、いかにさぼって定刻5時の勤務終了時間を・・・いや間違った、5時より早い4:30に切り上げて家路にたどり着くか?に闘争心を燃やしている(?・笑)
銀行は通常3:00終了だが2:45でもう閉まっていて、外からドアを叩いても「もう今日はおしまい」というゼスチャーをするし、キオスクの売店のおばちゃんも19:00終了前15分前にになると、急に店じまいをし始めて、居座っている私にガンをつけてくる。
バスの運ちゃんのおじさんに「この切符で良いのいか?」と聞いても「それは駄目だ」というゼスチャーをして、それでそっぽを向いておしまい。どういう切符ならいいのか?という話もない。
とにかく、駅や売店などの職員は極めて、不親切と思った方が良い・・・じゃなくて、人間の根源的な物がでているだけか?
人間、仕事はできれば怠けたいのが正直な所だ。誰だって仕事をしないで生きていけるならそれにこしたことはない。
ポーランド国民は正直に(?)それを願って生きているだけのなのだ。
いわば、正直者国民。日本もちょっとは見習わないといけない(?)
ポーランドがそれでも観光面で全くその点で改善点がないのは、それでもなんとかやっていける国だろうから・・・いや違った・・・それでやっていけなくて貧しい国でも「いいじゃないか?貧しくても」という発想がどこかある。
逆にポーランド国民から言わせれば、何で日本人はそこまでして働いて金を稼ぎたいの?という疑問があると思う。
日本人はとかく、仕事にストレスを抱えやすい。それはやはり必要以上に仕事がきつくて、大変だからだろう。
ポーランドでは、だったら必要以上に仕事をしなければいいじゃん!という発想がある。これ、いわゆる旧社会主義国家の特徴(笑)
もちろん、外資関係の会社はそういうわけでは済まないので、ホテルとかデパートなど、外資が入っている関係の商売はすべて、サービスは徹底している。
加えて、外資関係の商店は笑顔も忘れない。
日本ではなじみがないが、西側ヨーロッパ系やアメリカ関係の店の店員はいつも客に対する笑顔を忘れない。
それが旧社会主義国家では、そういうのは面倒くさいから、しないのが普通だ。
加えて、仕事が面倒くさいからか、かったるいからか、わからないが、あまり心地良い顔をして接客していない(笑)
すごい店員になると、私にガンをつけてきて、注文したメニューとは違った、頼んでもいない別メニューのコーヒーに別メニューのパンを勝手に付けてくる(怖)
まあ、しかしポーランドに行ってみようと思っている日本人がこれを読んで躊躇してしまうのもまずいので(というか、今回ポーランドで日本人観光客には2組しか会わなかったので(笑)多分そう考えている人は少ないのでは?とは思うのだが)一応弁解しておくが、店員は不親切ではあるが、すべての店員ではないし、それよりも道ゆく人々は皆親切と思った方が良い。
こちらが困っていると、結構声をかけてくれる人は大勢いた。
もちろん、ポーランド語で話しかけられても、こちらはわかりませんが(笑)。
しかし若者は英語がわかる人が多く、けっこう助けてくれる人は多かった。
また、意外な事だが、ポーランドにはかなり親日家が多い。
列車の中でも熱烈な親日家が話しかけてきたが、どうやらポーランド人は日本にかなり興味があるらしい。
私たちが日頃、無感傷になりがちな、桜とか、富士山とか、城などの絵などに、興味津々のようだった。
そう考えてみると、確かに、桜とか富士山とか、大阪城とか・・・けっこう美しいものなのかもしれない。灯台下暗しなのかも?
またここが面白い所なのだが、別に東洋人に興味があるのではなく、本当に日本人のみ興味があるらしい。
ちなみに・・・中国人について意見を聞いてみたのだが・・・
・・・まあこの返答については・・・
・・・私は音楽関係以外においては、陰口を叩く主義ではないので、あえて伏せておこう(笑)
さて、ワルシャワから翌朝早い列車で私はポーランドの観光都市,クラクフという街に向かった。
ここが今回の旅行の本当の目的地なのだ。
バスターミナルには英語が書いていない!
最新で美しい電光掲示板の時刻表にも・・・もちろん、英語は書いていない!(汗)
こんな時刻表読めるわけねーだろ!(笑)
全世界から集まってくるショパンマニアの聖地、ショパン生家前停留所の時刻表。
2012.5.24
観光古都、クラクフへ
ポーランドにはクラクフという観光古都がある。
例えばワルシャワは、第2次世界大戦でほとんどの建物が破壊されてしまい、現在ある建物はすべて、戦後再建された建物ばかりだそうだ。
しかし、クラクフという街はその戦火から逃れたようで、ほぼ完璧に古い町並みが残っているのだ。
今回、この街を最初に訪れた。
但し、ここに移っている写真はどれも観光名所ではありません(汗)
クラクフという街の観光名所とは縁遠い、町外れの写真です。
でも、どこもものすごく様になる。
こんな美しい風景がクラクフには延々とありました。
ただ、この町並み風景の中で、特殊な地域の写真があります。
「ゲットー地域」と呼ばれる地域で、ユダヤ人の居住地域で、ナチスによる弾圧時代には3,000人住んでいる地域に15,000人を住まわせ、塀を作って外部との出入りを禁じたそうです。
昔、「シンドラーのリスト」という実話映画がありましたが、この地域は正にこの映画の実話の現地で、かつ、実際にその現地で撮影が行われた場所でもあります。
ヨーロッパには美しい町並みが至る所にありますが、そういう陰にはいろんな悲劇の積み重ねの町並みが、あるわけです。
良いんだか悪いんだかわかりませんが、ゲットー地域は一種独特の雰囲気がありました。
ただ、かなり整備されているようで、雰囲気はユダヤ人居住地域という感じではあるものの、かなりきれいにしてはいましたが、例えば下の写真などは多分、当時とあまり変わっていないのでは?と思いました。
続いては、今回泊まったホテル特集!
人間どこまで究極の豪華なホテルに泊まれば満足するのか?!?
2012.5.26
あなたはどんな贅沢をしたことがあるだろうか?
私は残念ながら贅沢に縁がない。
服に関してはブランド物に感心はないし(故にアウトレットショップに興味はない)車は別に現在乗っている中古の17年落ち国産車で十分だし(そろそろやばいか?)実家のピアノ教室と違って、私の自宅は(自分の人生と同じく)陽の当たらない安マンションである。
たまの日曜日の外食ディナーはガスト、すきや、ドトール、餃子の王将・・・最近はこの4店のローテーションである。
唯一私が贅沢をしたと言えば・・・現在持っているCS2ピアノぐらいだろうか?・・・といってもこれは商売道具だ・・・かといって弾ける価値のある人間かどうかはわからないが・・・。
だからといって、私は贅沢をしたいと思ったことはない。
人にもよるかもしれないが、贅沢なんて所詮したところでいつかは飽きる。
そういえば、海外旅行は確かに唯一の贅沢かもしれないが、これだってひっきりなしに行ったら多分飽きてしまって行かなくなるだろう・・・いや、もうそろそろ飽きても良い頃か(笑)
どちらにしても、日常生活で私に贅沢は縁遠い。
では、たまに贅沢をしたら人間どうなるのか?・・・
ちょっと今回私はそれを試してみた(笑)
すなわち・・・宿泊ホテルである。
クラクフという街で豪華なホテルにでも泊まってみるか・・・と今回試しに1泊のみ、泊まってみたのだ。
あとでわかった事だが、このホテル、地元ではかなり有名なホテルのようだった。
豪華と言っても別にシャンデリアがサンサンと・・・という感じではなく、いかにも歴史のある、内装に凝っている感じのホテルだったのだ。
とにかく、部屋の家具の豪華さに驚いた。パッと見、豪華ではないが、よーく観るとかなり質の高い家具である事がわかる。
浴室はなんと!!大理石の作りである。しかも表面のみというちゃちい作りではなく、本物の分厚い大理石で作られていた。また写真ではちょっとわかりにくいが、トイレの左の壁は何の素材かわからないがものすごく良い石のレンガでできていた。
その、ものすごくセンスの良い落ち着いたインテリアと、大理石の壁のおかげで、トイレの時も・・・緊張して出すものも出せないほどの高級感を漂わせるものであった(?)
余計な貧乏人の感想ではあるが・・・トイレットペーパーの質の高さも、これであそこを拭くにはもったいなくないか?・・・と、使わずに洗顔後のタオルかわりに持って帰りたくなる質感であった。
またベッドもすごかった!。
やはりこれも写真ではわからないかもしれないが、クッションが何とも言えない反発力なのだ(笑)。毛布も何とも言えない肌触り。当然布団は羽毛で、カバーはどうやらシルクのようだった。
当然のごとく、その夜の寝心地は・・・あまりにも高級感あふれる寝具と静寂しすぎるくらいの寝室で・・・全く寝付けなっかたのだ!!。
さて、朝食の時間である。朝食の部屋もかなり質が高く、加えて朝食の質もかなりレベルが高かった。
マジで高級すぎて喉を通らないって!
ところでこのホテルのレストランで夕食をとったのだが、これがまたうまかった!
どうやらイタリア専門レストランだったと思うのだが、ちょっとこういうレベルのイタリア料理は本場イタリアでないと食べられないレベルだった。
なっていったら良いんだろう?いつもイタリア料理と言えば・・・サイゼリアで「これがイタリア料理か?」と思いながら食べている私にとって(いや、サイゼリアをイタリア料理という方が間違っているのかもしれない汗)、バジルやハーブを絶妙の香りをもって料理しているここのレストランはかなりのレベルといていいだろう。
でもまあ・・・こんなに高級なレストランでなくても・・・
ここは駅のそばの格安ケバブ料理店だったが・・・まあここでも充分おいしかったです。
2点でしめて約300円!
このスープが100円ぐらいなんですが・・これがまた見た目とは裏腹に、うまい!
総じて・・・私にとっては高級ホテルはどうやら似つかわしくないようだ。
世の中、贅沢をすると、それに馴れてしまって、そこからレベルを落とせなくなるとかいうが、今回、ホテルという面では別に私は高級指向でなくともかまわないようで・・・。
さて、旅行記はいよいよ仕事の内容に入ります!。
そう、今回のポーランドの旅は一見、観光の様ですが・・・実は違います。
ここクラクフの音大に用があってきたのです。
しかもこれがまあ・・・アポなし突撃特攻玉砕取材(笑)
2012.5.31
アポなし突撃特攻玉砕取材
ここ相模原市で逮捕された菊地容疑者の自宅からなんでも携帯電話が7台出てきたとのニュースがありましたが,私も除湿機では負けてはいませんよ。7台自宅に隠し持っていますからねえ。
まあくだらない話はこれぐらいにして・・・。
さて,ここからが今回の旅行の本当の目的です。
今回,ポーランドを旅行先に選んだ理由は4つ。すなわち
- 1.現地の幅広いレベルのポーランドピアニストの演奏を聞く事によって,日本人ピアニストとの違いを見分ける事。
- 2.ショパンの生まれ故郷を観察して,彼がどういう土壌をバックボーンに作曲したかを探る事。
- 3.ポーランドの音大に突撃特攻取材をする事!
- 4.ポーランドの女性と日本人女性とどちらが美しいか検証してくる事。
この4点です。
まず,4番目においては空港に降り立った時点で結論は既に出ていましたが,他の3点においてを今回,メインの(?)4番目の検証のついでに、検証する事になったわけです。
さて、1,2番目は後ほど報告するとして,まず3番目の項目ですが、実は私の生徒でポーランドの音大を希望する生徒がおり、ポーランドの音大の調査が必要になったのですが、そのひとつ、ここクラクフの音大のHPに書かれてある入試内容が詳細に書かれていなかったのでメールで入試内容の問い合わせをしたのですが,帰ってきたメールは・・・な,なんと!・・・全部ポーランド語でした(汗)
内容を自動翻訳で訳してみた所、どうやら「HPの内容を良く読め!」と書いてある様でした。
よく読め!つったって・・・だって,私が聞きたい項目が書いていないじゃないか・・・だからメールを出したっていうのに・・・。
という事で再度メールを出したのですが・・・これが何の音沙汰なし・・・。
完全に無視されました(汗)
・・・という事で,こうなったら,直接、現地に乗り込むしかないな(笑)という事で,今回旅行の計画を立てたわけです。
これがクラクフ音大.この後,緊張したやり取りがあったので大学内を撮る事をうっかり忘れてしまいました。
さて、今回訪問したクラクフ音大、うまくいくかはわかりません(汗)
なんつったってアポなし訪問ですから(笑)
でもまあ,何とかなるでしょう・・・。
さて、最初に窓口へ行って,事の事情をなんとか説明し,通された部屋には事務員らしき女性が二人。
まず最初に自分の生徒で受けたい人がいると言ったところ
おばさん「あなたの生徒はポーランドの音楽学校を出たのか?それともポーランドの音大教授からの推薦状をもらっているのか?」
私「いいえ」
おばさん「あー出てないの?それじゃあ無理ね」
私「え?」
おばさん「この音大はね,非常にうまい人しか入れないの。ただのうまい人じゃ無理なの」
私「えぇっ??」
おばさん「あなたの生徒は非常にうまいの?それとも普通にうまいの?」
私「えっ(汗)あっあっあのぅ・・・(一応謙遜を含めて)普通にうまいだけです(汗)」
おばさん「あーそれじゃ無理ね」
私「えっ(汗X3)」
おばさん「あなたの生徒はどこか日本の音大を出てるの?」
私「いえ・・・それがそのぅ・・・経済学部卒業で・・・」
おばさん「はぁ?じゃあ絶対無理ね!」
私「いやしかし・・・確かにプロピアニストレベル並にうまくはないんですが・・・しかし日本のそれほど有名なコンクールではないのですが・・・一応1位をとってはいますが・・・汗」
おばさん「でも無理ね!。この音大は非常にうまい人しか入れないの!」
私『はぁ・・・汗」
おばさん「しかも入学が許されるのは8人のみなのよ.たったの8人よ!」
私「あのぅ・・・」
おばさん「それとね!この音大に入るのには外国人は4000ユーロも必要なのよ。4000ユーロもよ!あなたの生徒,用意できるの?」
・・・ここいらで,いい加減私はイラッとしてきた。
このおばさんと話しても何のラチもあかない。
わかった事は、すなわち、この音大では外国人はなんのコネもないのであれば歓迎されないという事だろう。
こういう事は外国のみならず,日本でも田舎に行くと良くある話だ。すなわち、私の様な外国人は「よそもの」なのだろう。おそらく「よそもの」は追い返せという風習がある。
しかし,ここは音楽を勉強したい人のための学校なのだ。勉学をしたい人がポーランド国民とかの様に無料で入るのではなく,外国人枠で4,000ユーロ払って入学するんだから、いちいち嫌みを言わなくても良いだろうに。
大体,単に「非常にうまい生徒しかはいれない」っつったってどの程度のレベルをさすのかわからん。
大体4,000ユーロも必要って・・・日本円でたったの40万円じゃないか。。。
日本の音大は1年間在学するだけで200万円もかかるのだ。それに比べたら安いものだ。
もちろん,ポーランドの物価は日本の1/2から1/3だ。彼らにとって4,000ユーロは,すなわち80〜120万円相当になる。高額なんだぞ!・・・という言い分はわかるが。
とにかく自国民以外が来る事がいやなのはわかった。
しかしだからって、ここで私が引き下がっては大和魂が黙っちゃいない。
HARAKIRI,SAMURAI=日の丸特攻隊がアポなしで、わざわざはるばる日本からやって来たのだ。ここで舐められて,追い返されちゃたまんない。
恐らく,外国でよそ者や,外国人がその国でやっていく方法・・・おそらく、日本人らしく、文句を言わずに静かに帰るとか、おとなしくするとか・・・そういう事をやっていたら外国ではやっていけないのだ。
山中で野良犬に遭遇したら・・・逃げるのではなく,徹底的に抗戦する事。それこそ,その辺のこん棒で叩きのめして相手がしっぽを巻いて逃げてもさらに追いかけて捕まえ、さらに一撃を食らわす・・・そういう根性で渡り合わないと,外国ではやっていけない。
・・・ここで私は反撃に出た。
私「4,000ユーロは日本人にとっては取るに足らない金額だ。日本人はそんな金額,1ヶ月で稼ぐ。」
おばさん「えっ・・・汗・・・」
私「それよりあなたに質問がある。非常にうまいレベルとはどういうレベルなのか?例えばどれくらいの曲を弾ければ良いのか?ショパンエチュードが完璧に弾ければ良いのか?それともショパンソナタ1曲を完璧に弾ければ良いのか?はたまたブラームスのラプソディ−1番レベルか?それともモーツァルトソナタ全楽章レベルなのか?それともショパンコンクールで1次予選を通過するレベルなのか?あなたの『非常にうまいレベル』はあまりにも抽象的でまったくわからない。もっと詳しく話せ!」
おばさん「え・・・???ショパンエチュードってなに?・・・」
私「・・・はあ?・・・(何言ってんだこのババー?)・・・」
ここでわかったのだが,このババー,単なるはったりババ−だったのだ。事務員なんて所詮この程度なのだろう。
用はつまり,このババー,日本から来た日の丸特攻隊を機銃掃射で追い返す見張り役なのだろうが、そうはいかない。
この質問をしたところで、どういうわけか,さらに次の部屋に通された。
次の部屋には今度は恰幅の良い男性の事務員がいた。どうやらこいつがここのボスか?
こうして、ようやくこの音大の詳細に関して質問ができる様になったのだった。
アポなし突撃特攻玉砕取材part2
ここはとある自然豊かな田舎の田園風景・・・
うーん、のどかだ・・・
ん?ここはどこだ?
ん?なんとなく・・・
見たことのある様な・・・
やや!!!
おお!!!
なんとぉ!!!
おお!!・・・おう・・・
ムム・・・
くだらない野次馬野郎のわがジモティー相模原突撃取材はこれぐらいにして・・・
クラコフ音大突撃取材の続き・・・
その部屋の奥にはいかにも私を威圧するには十分な体格のいい男性がいました。
黒ズボンに黒のシャツ。やくざが着ている様なやけに襟の立ったシャツです。
そしてドスの利いた声で
ボス「座れ!」
私「は・・・はぃ・・・」
ボス「何が聞きたい?」
私「いや、あのぅ・・・」
ボス「お前は日本人か?」
私「は・・・はぃ・・・」
ボス「日本人が何しに来た?」
私「あ、いや・・・そのぅ・・・」
と、こうして話を続けました。
しかし,思っていたより,このボスはいろいろと話を聞いてくれて,私が聞きたい内容もいろいろと教えてくれました。
しかし、やはり態度にはあまり歓迎できないという感じがありました。
単純に,恐らく向こうの言い分は「うまいかどうか、わからない奴が試験に受けにくる事は迷惑だ」という感じでした。
このあたりが全く日本と違っていて,多分,推薦状などを持っているなど、要するに完全によそ者ではなく,我々が知りえる人物のみ受け入れるという感じがありました。
それってつまり・・・「よそ者」は受け付けない,って事じゃないですかね?
やっぱり閉鎖的というか,田舎というか(笑)
逆にいえば日本では考えられない事ですが,多分入試もかなりコネが効く?感じではと思いました。(といっても一昔前の日本の音大もそうでしたが)
事態は難しい内容となり、私がいくら話しても,私を「よそ者」扱いの、ややぞんざいな扱いで,いや困ったもんだな・・・と思っていたのですが・・・
ボス「日本人の場合はほとんどは音大卒の人がここの大学院に入るのが普通だし、それしかきいたことがない!」
私「いや、しかし・・・昨日実はあるこの学部の日本人卒業生にあって話をしたんですが・・・」
ボス「だれだ?」
実は前日,あるクラコフ在住のここの卒業生に実際に会って,いろいろ話しを聞いたのですが,その人の名前を口に出したとたん!・・・向こうの表情が機嫌良くうって笑顔に変わり、そしてその日本人にすぐ電話をわざわざしてくれて,その後,「来週にピアノの教授のレッスンがあるから,可能ならばいろいろ話を聞いてこい」と言い出したのです!。
いやこれには驚きました。
これって・・・コネ?・・・(笑)
まあ,残念ながら,私は来週には日本に帰らないといけない身分なので,そのピアノ教授に会うことはできなかったのですが・・・。どちらにしても,外部の人間が何のコネもなしに入ろうとすると,難しいんだな,ということがわかりました。
しかし、ここクラコフ音大はコネとか金とか?そういう事ではなく,レベルにおいては決して難関レベルではない!という確固たる確信が実はあったのです。
もちろん、難関ではない、とか、いややはり難関だ,と言う言い方は少々語弊があります・・・というか・・・それは日本的な言い方というか・・・。
日本はとかく受験戦争で,斬った!斬られた!やられた!血が吹き出た!!(笑)もしくは死んだ,助かった!生き残った(笑)という感じです(笑)
こと音大にでもなれば一音でもミスをすれば「しまった!!!」という感じで、合格にほど遠くなる感じなのですが、これはあくまでも日本での話です。
少なくとも海外の音大になると少々事情が違ってきます。
そして・・・その海外音大卒の生の演奏を聴くことになり・・・そしてある確固たる確信を持ったのです。
そこには日本流の受験とはほど遠い,本来あるべき音楽の世界がありました。
日本からはるばる刀を携え、頭に日の丸鉢巻き、切腹精神で乗り込んだクラクフ音大。
しかし,文明開花でその刀をいよいよ捨てる時期が来たのです。
実は今回の旅行で2つの演奏会に行ったのですが,その一つ,クラクフでの音楽会でのことでした。
ここのコンサートではクラクフ音大卒の人達の演奏が聴けるという事で,いったいどれだけのレベルなのか?を聞くために出かけたのです。
そして,この演奏会で2人ほど、演奏を聴くチャンスがあり、そして・・・ある確信に到ったのです。
これがクラクフ音大卒業生の音楽か・・・と・・・。
そこには驚きと感慨以外にも落胆(笑?)もありました。
しかし、そこには正に私が理想としていた音楽の核心がありました。
そもそも,音楽とはなんなのか?
数学や英語のテストと違って何が採点基準になるのか?
これは日本ではテクニックオンリーでごまかされてしまうのですが,音楽なんて所詮相手を納得させられるかなんです。そこにレベルもくそもあったもんじゃない。
うまい奴は「あいつはうまい」ただそれだけで名が通るし「あいつは指だけが動いている奴だ」と思われたら,一巻のおしまい。
そもそもレストランだって,(ミシュランの様に)なにがしかの点数を付けて序列化しようと思ったらできなくはないけど,所詮,点数でうまい,まずいを付ける事自体が間違っている。うまいものはうまいし,大してうまくないものは,たいしたことないで,客が遠のいてバッサリ斬られてしまう。
かといって,お客の顔色を覗いて,「こういう味付けの方がお客が喜ぶんじゃないのか?」という発想もまた、日本人的な発想で世界市場には良いかもしれないけれども、そういうことよりも、その料理人が「これしかありえない!」と打ち出したものが市場で評価されるかどうか・・・。
そういうダイレクトなものを,ここクラクフの演奏会で見てしまったのです。
2012.6.10
ポーランドのピアニスト達
いよいよ,このコーナーも核心に迫って来た感じだ。
私が今回の旅行で最も求めて来た情報、そう、それはこのポーランドのピアニスト達の音楽に他ならない。
私は日本にいる時、いつも音楽においては悩まされてきた。あるいはコンクールや受験において苦渋の選択をせざるをえなかったと言っても良い。
簡単にかつ、センセーショナルに言おう。
1.日本のピアニストはガチャガチャ弾きたがる。
2.加えて音が単色で汚い。
3.おまけにリズム感がなさすぎてロック音楽にしか聞こえない。
4.精巧なのはわかるけど隙間や遊びがなさすぎて息苦しい。
もちろん・・・私もどうかと言えばえらい事は言えない(笑)。未だに上記の様な演奏だろう(汗)
しかし、とにかくピアノ界では上記の演奏が多い。
おまけに日本人の音大教授も,そういう演奏が多い。
これが,私の生徒を日本ではなく,海外の音大に入れたかった理由である。
もちろん、絶対的な確信はない。海外だって日本流の演奏家もいるだろう。
そのためにも今回、現地ポーランドのクラコフ,そしてワルシャワにて,現地ピアニストの演奏を聴いてみようと思ったのだ。
まずはクラコフに出かけて,クラコフ音大卒の演奏を聞こうと街に出かけた。
演奏を集中して聴くにはエネルギーがいる。
さて,まずは街のカフェにて糖分補給・・・
とあるカフェに入ってみると・・・
うひょ〜
ちょっとこのでかいパフェいっちゃおうかな?
うまそ〜
いいねえ〜
]
いいじゃん、いいじゃん!
いいぞぉ〜!
よっしゃよっしゃ!
うまい!
余は満足じゃ!
ん〜もう食べられない!
このカフェは毎日のごとく通ったカフェです。当然,ほとんどのケーキを食べ尽くしました!!!
ところで,この値段の数字ですが・・・実は1ズロシェ(ポーランド通貨)22円です。
すなわち・・・特大ケーキが22×9=200円!
観光地の中心地である事を考えると通常は高いはずなのですが,ポーランドの物価が安いのでこのお値段。
いや〜えがったえがった。
あまりに糖分過多で補給されてしまって頭が回らないので(?)今日のHP作業はここまで!(笑)
次回更新をこうご期待!!
・・・と勝手な締めくくり(汗)
2012.6.13
ポーランドのピアニスト達(今度こそ編)
さて、腹も甘いものでいっぱいになった事だし(?)いよいよコンサートに出かけました。
今回コンサートは2カ所行きました。
一カ所は観光客相手のコンサートなので内容はどうかな?と思って出かけたのですが,一応奏者はクラコフ音大卒の人達です。
ここのコンサートでは二人のクラコフ音大卒の人を聞きました。
内容は・・・実に驚きの内容でした!。
まず、一人目は例のクラコフ卒の日本人で、通常日本人の場合、私から言わせてもらえば,聞く前から予想していた通りの演奏というパターンがほとんどなのですが,この人に関しては全くその予想を裏切っていました。
大変繊細でかつ,よく歌っていて,品のいい演奏でした。
また,もう一人,これはポーランド生まれの卒業生でしたが,この人はかなり日本人奏者と違って,かなりパワフルで,豪快な演奏でしたが、それでもやはり歌う事を最も忘れていなかった演奏でした。
さて,この二人は音楽的には全く違った指向がありましたが、一方で共通しているものがありました。
正直、完成度は?と言う点では,日本人は良かったものの,ポーランド人はやや暗譜や仕上がり度においては?マーク山積でしたが(やっぱりポーランド人はいい加減だ!)
しかし、両者にあった共通点は・・・すなわち,「反則技」が多かった事です(笑)
反則技とは何か?
簡単に説明しましょう。ここで言う反則技は日本国内のみでのルールに反した内容です。
つまり,多分外国では別に反則というほどではないということです。
しかし、日本で育って海外に出た事のない人ならば、その日本で縛られているルールが当たり前になってしまって,よもや「反則技」を使おうなどという大それた事は考えつかないのです。
この点に私は早くから疑問を持っていました。
実は私は学生の頃から,海外の特に戦前のSP録音などのレコードを集めていた関係もあって,それらの演奏は「反則技」だらけでした(笑)
当然,日本人の先生達は「あのピアニスト達は反則だらけだから聞いてはいけない」となっていたのですが、私はその反則技にとてつもない魅力を感じ,なぜそういう演奏をしてはいけないのか?と疑問に思っていました。
そしてその疑問は「海外のピアニストは反則だらけで弾いているではないか?」という疑問でした。
ではその反則技とは・・・なんて言ったら良いんでしょうか?
そもそも一つの曲を弾く時には,血の通った人間だったら思わずやりたくなる演奏内容が,いわゆる”反則技”なのです。
たとえば、人間の脈が一定でない様に,テンポだって揺らぎがあるだろうし,今日と明日とでは気分も体調も違う様に,曲の解釈も時に以前と違うこともあるだろうし。
加えてそもそも演奏とは, 時には大きいうねりの気持ちの表現であって,試験やコンクールのような減点を食らわないための羽目を外さない、変化の乏しい均一な演奏ではないのです。
この二人はその曲の完成度はともかく、その人間らしい,フレキシブルな幅のある,どちらかといえばやっぱり,ポーランド的なゆったりとした時間の流れで、のんびり生活的(?)演奏スタイルが垣間見れました。
なんといったら良いのだろうか?
これはいっぺん日本を離れればわかる事なのですが,とにかくヨーロッパは習慣から,食べ物、考え方,人生観、エチケットから根本的に違います(事務のババーも日本の親切なおばさんとは大違い・笑)
そもそも私自身、日本の規則というものにも少々疑問があるのです。
日本では子供は一流大学に行く事がステイタスになっている。しかしそれは何も大学で学問を究めるのが目的ではなく,卒業後に一流会社に入るためであり、またそれがステイタスになっている。
一流会社に入ったら出世して高給取りになる事がステイタスになっている。
もちろん,それはそれで良いとは思います。そりゃあ私みたいに安月給よりかは絶対いい!(笑)
もし、ロケット開発、自動車開発に携わりたいとか、法律家を目指したいとか、そういうビジョンがあって大学を目指すのならともかく、どういうわけかとりあえず大学に行く、とりあえず上場企業に就職しとけば良い、という感じだし、そこに各個人”夢”があるとは私は思えない。
またこのご時世,就職難で現役生でないとまともな会社に就けないのですが,なぜ現役でないと致命的なのか私は理解できません。
人間なんだから卒業後に例えば海外青年協力隊に参加しても良いだろうし、ワーキングホリデービザで1〜2年海外で働いて海外見聞を広めても良いと思うのだ。
そうでなくても、なにも大卒でなくても良い。大工を目指すのでも良いし,歌舞伎役者を目指したいという人がいても良い。
大学って何? 会社って何? 夢って何? 人生って何?
日本だと,何かしがらみという規則があって、それに縛られながら大人になっていく若者が多い様な気がするのは私だけでしょうか?
クラシック音楽もそういうしがらみや規則があって、思った様に弾く事は”反則”であると・・・。
話を元に戻しましょう。
ここ、ポーランドは思いっきり時間がゆっくり流れていて,何一つ,日本みたいに粒が揃っていなくて整然としているものが少ないのです。要するに,理路整然としていない(笑)
それは時には交通関係などは旅行者をイライラさせることもありますが、そもそもそれが普通なんだと思えば,それほど怒る気にもならなくなります(ムカつく事務のババーは除く)
実はワルシャワからクラクフに列車で移動中の景色なのですが、これがかなり北海道の景色にそっくりだったのです。
ポーランドは,平原がなだらかに続く陸地なのですが、同じく緯度もほぼ同じでやはり平原が続く北海道に風景がそっくりになったことは決して偶然の一致ではないと思います。
と同時に北海道の風土に似て、ゆったり,のんびり,せこせこせずに、大らかに時間が流れているあたりはポーランドも変わらない様でした。
そういうポーランドの土壌を音楽で表現したらどうなる?・・・という演奏に近かったと思います。
実は,この日本人の方に演奏終了後,個人的に大学の事も含めてお話しを伺ったのですが,私が「あなたの演奏スタイルを日本でやる勇気はありますか?」と聞いたところ「私は日本では,全く別な演奏をします」という返事が返ってきました。
そうなんです。日本では反則技は使ってはいけない。これが現実です。
さて,この後,今度はいよいよショパンの本拠地、ショパン生家で同じくポーランド人の演奏を聴きにいきました。
ワルシャワ近郊のショパン生家での演奏者はかなりレベルが高く,ショパコンなどで入賞経歴がある人ばかりのポーランド人の演奏が聴けます。
ここでもまた!驚愕する演奏が聴けたのでした。
詳細はまた後ほど。
クラコフの演奏会場
2012.6.19
ショパン生家
CS2を買った当初は全く弾く時間がなかったのですが、 最近5月から仕事が減ったせいで(?)ビンボーになり(笑)、CS2を弾く時間が膨大に増えて喜ばしい!・・・のだったのだが・・・。
調律師にこの間ピアノを調律してもらったのだが、
調律師「最近かなりcs2弾いてらっしゃいますねえ。ハンマーに溝ができていて,もうそろそろ削るかもしれませんねえ」
私「え?もう削るんですか?弾いてるったって、つい最近始めたばっかですよ、この間まで忙しかったから。たった2ヶ月しか弾きまくっていないんですが(汗)
ハンマーって何度も削ると交換するんですよね?,いくらぐらいかかるんですか?」
調律師「そうですねえ。まあハンマーのパーツはCFⅢSのパーツが共通部品なんですが,いかんせんすなわちフルコンピアノのパーツですからねえ。通常の3倍の値段しますよ。
私「え(汗)それって、おいくらぐらいで・・・汗」
調律師「まあざっと調整も含めて120万円ですかねえ・・・2ヶ月でこんなに減っちゃったんですか?この調子だと1年持たないですねえ」
私「・・・・汗・・・・」
それからというもの、私のリストのソナタの練習はハンマーが減らない様に蚊の鳴くような,ささやく音(sotto voce)で練習している毎日である・・・。
さて、ここでショパン生家への旅行記を書きたいと思う。
ここではショパン生家ヘのアプローチ,生家の観察,そしてそこで行われたポーランドピアニストの演奏会の内容である。
ショパンの生家はワルシャワ近郊の村にある。だいたい列車で30分ほどだっただろうか?
やっぱり英語が通じない窓口のおばさんに・・・今度は準備よろしく、乗りたい列車の系列番号と時刻,行き先の駅名をポーランド語で書いて示して購入。
まずはソハチェフという駅まで行き、そこからローカルバスで40分ほど行くらしい。
ソハチェフという駅、きっとショパン生家への最寄りの駅だから土産屋さんとか,ショパングッズとか,わんさかだろうな・・・と思いきや・・・
うわっ!なんだこの駅!ちっちぇー。なんもねえ。
ここがショパン生家の駅前の人がごった返す、もっともにぎやかなメインストリート!
右を見て・・・
左を見て・・・
うーん、人気のショパン生家の繁華街はこの間生誕200年があっただけに大変にぎやかです!!
オオ!一件のみあった喫茶店は・・・今日は日曜日でお休み。。。
まったくとんでもない所に来ちまった。
ちなみにここのバス停は・・・上記の「右を見て」の写真の右にある青い屋根、あれだけである。
近くには路線地図があったが(もちろん!オールポーランド語!)どこにもショパン生家についての説明はない。ショパン生家の停留所の名前はジェラゾバ・ボラ(Żelazowej Woli)この文字だけが頼りである。
バスで待つ人達は多少,ショパン生家への観光客は少しはいるものの,そのほとんどは現地ジモティー連中の子供やおばさんばっかり。
まあ何とかなるだろうと乗ったはいいものの、なんと!停まるバス停留所すべてにはなぜか停留所名の看板がない!
停まるバス停すべてに名前が書いてないのだ!。たぶんジモティーばっかりだから書く必要性がないんだろうが・・・ちょっと待った!おれは海外の観光客なんだぞー!!(泣)
当然バスのアナウンスもない。
おい!どこで降りりゃあ良いんだ!?
隣のおばさんに英語で話しかけるも「?」というゼスチャー。
と・・・そこに英語が話せる若者が助け舟・・・はーよかったー。
さて、なんとか、そのジェラゾバ・ボラの停留所に降りて(全く停留所看板も,ショパンのショの字もどこにもなし!!)てくてく歩く事数分・・・。
驚く事に,写真中央がショパン生家の停留所(笑)
なんもねー。側壁もねー。看板もねー。
でもすごくのどかだ。牧歌風、田園風、田舎そのもの。
ちょっと避暑地という感じかな?森の中です。とても気持ちがいい。
帰りのバス時刻表を確認する。読めない!。。。。
あった、あった、ありました!ショパン生家博物館公園
奥がショパン生家
ショパン生家の公園はやや整備されすぎてはいるものの,大変自然豊かな森の中という感じで、彼が自然や,田舎の生活というものに密着していたのでは?という感じがしました。
私は前から思っていたのでしたが,モーツァルトは都会的な曲でショパンは自然豊かな雰囲気の曲だなあ,と漠然と感じることがあったのですが、その予想は全くもって当たりでした。
さて,その生家で驚がくのショパンの演奏会がありました。
詳細は次回・・・。
ショパン生家での演奏会
冒頭の題とは全然関係ないが(笑)あなたは幽霊とか死後の世界とかを信じるだろうか?
まあ,それを信じる信じないは人それぞれだろうからまちまちでしょうが。
でもやっぱり,それは私自身「ない」と考えている。
やっぱり人間死んだら脳も死んでしまうので思考力が無くなるだろうし・・・。
結局この世に留まれることができるのは自分の代のみ、ではないかと思っている。
もちろん、真相は誰にもわからない。
しかし、仮に幽霊がいたとしても、それが人間に重大な危害を加えるとは考えにくい。
たとえば・・・。
「今日、午後1:00過ぎ、神奈川県相模原市の路上で男性が幽霊に刺し殺されました。警察では幽霊を現行犯逮捕して所轄の警察署で事情聴取をしています」なんて聞かないし
「今日、警視庁は恐喝の疑いで幽霊(38)を逮捕しました。調べによると、戒名S700E●●は都内在住の男性にこの家を明け渡さないと呪い殺すと恐喝を働いたとの事です。警察では幽霊を逮捕して、恐喝容疑で事情を聞いています。」
なんていうのも聞かない。
つまり、幽霊は仮にいたとしても人に危害を加えるというほどではないだろうと思うのだ。
どちらかとえば、幽霊より、最近は人の方がよっぽど怖い(汗)
世間では悲惨なニュースばかりだが、どれもこれもみんな人間が引き起こした事件ばかりだ。
本当に人間ほど何を、しでかすかわからないものはない。
加えて私もいろいろ経験してきたが人間ほど注意してしないと危なっかしい動物はいない(笑)
幸いにも私は人から危害を受けるほどの事は今までないが、たとえば戦場では当たり前だろうが、幽霊より戦闘員の方がよっぽど怖いのは当然の事である。
まあどちらにしても、科学的も医学的にも「幽霊」は実在しないということになっている。宗教的にはわからないが・・・。
さて、ポーランドの旅行記もいよいよ核心である。
今回ショパン生家で聴いた二人の演奏やクラクフでの演奏でいろいろと気づかされ、そして考えさせられました。
そもそも感動的な演奏ってなんなのでしょう?
それは残念ながら文章で細かく説明する事も、科学的に証明することも不可能です。
医学的にも多分、多少脳波が変わるという程度でしかわからないでしょう。
こればかりは人間の心の中でしか変化が見えないものです。
しかし、「心」というものほど説明不可能なものはない。
これまた科学的にも医学的にも説明不可能でしょう。何たって幽霊と同じく実在しない物体なのですから。
幽霊もいないのなら、やはり「心」も存在しないことになる???しかし、心ばかりはそうはいかない。
加えて人を感動させるという事ほど難しいものはない。
日夜、その「感動的」な演奏を目指して、研究しているのだが・・・。
おもしろいことに楽譜に書いてあることを指示通り演奏しても自分自身ですらも「感動」しない。
もちろん、「どうやったら感動させる演奏ができるか?」などというアンチョコな参考書もない。
もちろん、多少の法則はある。しかし・・・。
今まで日本では多分「楽譜どおりに演奏すればいい。余計なことはしない」という考えが強すぎたのではないだろうか?
もちろん、それは間違ってはいない。
しかし、自分が単なるピアノ楽器を弾く媒体人のみに徹しすぎた結果、今日のような無味乾燥な演奏がはびこすぎた。
話を元に戻そう。
ここショパン生家での演奏会は、一人目はロシア人だったのだが、ややコンクールでの優等生的な演奏で(と言うより楽譜に忠実すぎたか?)正直あまり感動しなかったのだが、二人目のポーランド人であるピアニストの演奏には、これが参ってしまった!
ピアニストの名前はパーベル、バカレツィ。
なんでもこの間のショパコンの5位だったらしいのだが、たぶんコンクールのライブ録音より今日の演奏の方が良かったのではないだろうか?
コンクールが何位とかは私にとってはどうでも良い。
とにかく甚く感動してしまった。
なんといったらいいんだろう・・・。
かなり自由に弾いていると言えば良いだろうか?
やはりこれがまた反則だらけだったのだ(笑)
私には”どうしたら、あの様な演奏ができるのか?”ではなく自分の気持ちに忠実に演奏すれば、あのような演奏をしたくなる様な演奏だった。
もちろん、日本では絶対に聴けない演奏だ。
ここショパン生家での演奏にしろ、クラコフでの演奏にしろ、ポーランド人は自由に弾きたがる。もちろん、そうでない人もいるとは思うが、どちらにしても日本でお目にかかれない演奏だ。
そして・・・私はある確信に到ったわけだ。つまり・・・
・・・クラコフ音大に入る事は決して難しくない・・・
随分と自信過剰だなと思われるかもしれないが、これが結論だ。
そこにはレベルがどうとか、どこぞのコンクール一位の受験生とかいるから無理なんじゃないかとか・・・そういう事ではない。何度も言うがそれは日本的な発想だ。
ここはポーランドであって日本じゃない。音ミスがいくつとかではなく、とにかく感動させる演奏をすれば良いだけの事なのだ。
もちろんそれは難しい。しかし・・・。
難しいようで、実際は簡単。
単純に自分の気持ちを素直に表現すれば良い。
ここ、ポーランドでそれにやっと気がつき、かつ再確認をしたのだ。
何が一番大事か・・・いつもこの事を日本にいるとごまかされる。
豪快なだけの演奏とか、けたたましい音量とか、信じられない速さのスピードとか・・・そういうものに日本にいるといつもごまかされ、そして影響される。
今回一つの確かな確信を抱いて、今回、帰国した次第だ。
ポーランドの草原を吹く風はとても自然で気持ちがいい。
そんなこと、日本の草原でだって体感できたはずなのに、そんな事すらも気がつかなかった。
愚かな事だ。そして・・・なんと愚かな連中の多い国なんだろう。
2012.7.9
ショパンの生家前で演奏に聞き入るポーランド人達。
びっくりするほどみんな熱心に聞いていた。
演奏が終わってピアノの部屋からでて来たポーランドピアニスト。このあと観客は一斉に全員立ち上がって拍手喝采だった。
面白い事にもう一人のロシア人の時にはみんな立たなかった(笑)