音大へ進むべきか、趣味にしておくべきか?
答えは「趣味にしておくべき」です。そしてそう言われたあなたが「ああ、やっぱり・・・私には才能がないから・・・」と言って音楽の進路を諦めるのなら、やはりそれが正解です。音楽の世界はそう甘くはありません。
逆に「私に才能はこれっぽっちもないが、そう言われても私は諦めきれない!」と思うあなた・・・あなたは音楽の道を歩んで下さい。
うぬぼれでもいいんです。あなたには音楽を進まなければならない運命があるはずですし、あなたを待っている生徒や聴衆がいるはずです。
私は以前ある先生に言われました。
才能は情熱だ・・・と。
才能がどうのこうのと言う前に、あなたが音楽を一生勉強してみたいかどうか。それが大事なのです。
何度も言いましたが、音楽の道は甘くありません。中途半端な気持ちで進んだ場合、挫折は目に見えています。そしてその後の事は誰も保証してくれません。
しかし、「情熱」があれば・・・何も怖くないでしょう。相当な挫折を味わったとしても「情熱」をもっている人はそこからはい上がると思います。
もしもあなたが、迷っているのなら、自分に情熱があるかどうか、自分に問いただしてみて下さい。
音大へ進むべきか、趣味にしておくべきか?-年収&学費編-
多分、本気で音大に進もうとしている人にとって一番気がかりな、内容ではないでしょうか?
まず、音大へ行くためのレッスン代が気になります。通常、音大の教授などにレッスンへ通うものなら、ワンレッスン2〜3万はざらでしょう。
はたしてそんな高価なレッスン代を払ってまでも、受けなければならないレッスンなのかという論議は別にして、毎週レッスンに行くと年間、100万円はレッスン代に消えます。当然小学校4〜5年から通えば、大学まで通算1000万円が消えます。
そして、いざ音大に入ると、恐ろしい学費が降り掛かってきます。近年では4年間在籍すると900万円かかると言われています。
この異常な金額の学費の理由は、明らかに「ピアノを習っている家庭は裕福である」という大学側の間違った推測によるものです。(実際はそんな事はない!)
通算で、約2000万円、有名音大を卒業するまでかかる事になります。
しかし!卒業すると同時に、就職難になるのも音大卒業生の特徴です。
ちなみに、大手楽器店の講師の報酬料は歩合制で月平均15万前後。ボーナスなし。厚生保険、年金なし、交通費支給なしも珍しくありません。
大学講師においても、ほとんどが非常勤講師(つまり、バイト)で金額はまちまちですが、一番恐ろしいのは、毎年、新入生を何名か、入れるノルマが課せられており、それに達しないと、翌年「クビ」になるそうです。
そして、わが村田ピアノ音楽院、院長の村田は・・・車は中古の30万で買ったパルサー7年落ち(最近ウインドウガラスが動かなくなって、手でガラスを開け閉めしている)、Eメールができない4年前の携帯電話を持ち、レストランでは、BSE真っ盛りに、ガストの380円ハンバーグを食べ・・・
これでだいたいの年収がわかるとは思いますが・・・それでもあなたは音大へ行きますか?
もちろん、あたしゃそれでもこの仕事は好きですが・・・選ぶかどうかは本人の自由です・・・
もしピアノ講師の仕事で人より良い暮らしをしたいと思ったら・・・
それは100%無理です!音大へ行くのは諦めて一般の大学へ行く事を勧めます。
音大へ進むべきか、趣味にしておくべきか?-それでも行きたい才能ある貧乏人へ-
そもそも、私は音楽を勉強するのに、大変お金がかかってしまうという事自体に、疑問を持っています。
おおよそ、音大教授のワンレッスンの金額は2〜5万円です。どうしてそんなに金額が高いんでしょうかね???
しかし、世の中、探せば、比較的安い金額で内容のあるレッスンをする先生はいるはずです。
相場は5,000円〜10,000円です(音大の若手の講師は8000円が相場です)。はたしてこういう安いレッスン代で本当に内容のあるレッスンが受けられるのか?と疑問に思う人もいるとは思いますが(もっとも庶民感覚ではまだ高い!)
しかし、あえて高額なレッスン代でなくとも良い先生はいるでしょう。
たとえば私自身、こうしてピアノを教えていて、生活は楽ではない事は事実です。しかし、そう思うからこそ、同じように裕福ではないが、才能ある生徒にはお金がかからずに、質の良い勉強をさせたいと思うものですが・・・。
そして、もう一つ、高いレッスン代を払わずに音楽を勉強する方法。それは、とにかくCDからBS2、FMなどから、さまざまな演奏を聴く事です。
昔からいわれているでしょう?「他人から技を盗め」と・・・
私の音楽は、そのほとんどがこういった、CD、BS、FMを聞いて、得たものばかりです。そういう意味では、私は自分の尊敬する音楽家、ホロビッツ、ラフマニノフ、コルトー、グールド、コーガン、カラヤン、フルトベングラー、カルーソ、等について勉強したも同然です。
さて、音大の学費は軒並み、800万円前後する様ですが、これはやはり高額です。
では、もっと安い学費の音大はないのか?あります。ただし!外国の音大なのですが・・・
かし、外国の音大はそのほとんどが国立なため、学費がかからないのがほとんどです。滞在費も共産圏なら年間120万もあれば十分でしょう。
しかし、度胸を決めて外国へいけば、想像以上のいい勉強ができるはずです。
教授陣に素晴らしい先生がいるだけでなく、外国の文化、風習、習慣になれ親しむことは、西欧音楽であるクラシックを勉強するという点においては非常に重要です。
〜質の高い勉強をするのであれば、お金のかからない道を選ぶべし〜
これが、貧乏人のみならず、音楽家を目指す人に必要なキーです。
それでも行きたい才能ある貧乏人へ・・・part2
なんかこう書くとまるでこれを読んでいるあなたは世間でいうビンボー人なのかと思いたくなるかもしれませんが、私もご多分に漏れずビンボー人ですし(というより生徒の月謝をめぐんでもらって生きている野良猫状態)、一般世間ではこのビンボー中流階級を日本の人口のほとんど占めているのでご心配なく!
さて、この一般中流ビンボー階級にとって他に音楽を勉強する環境はないのか?
そのいくつかを御紹介しましょう
1、国公立教育大学を目指す。
国公立において音楽大学はあるにはあるのですが、関東においては東京芸術大学しかありません。しかし、ここは日本一の難関大学。とても普通の人が入るのは至難のわざ。
ならばというわけで、国公立教育大学の中にも音楽コースもあるのでその辺りを目指すのも一つの方法です。たとえば学芸大学、千葉大学、横浜大学などにはわずかな募集人数ですが、器楽専門コースがある様です。
もっとも、音楽大学ほど規模が大きく、かつ良いカリキュラムは残念ながら望めないかもしれませんが、意外とそれなりに良い授業が受けられるようです。
ただし、合格においてのウェイト配点は、筆記試験がかなり占めるようなので、勉強がかなりできないと行けないというハードルがありますが。
2、短大を目指す。
近年では短大は残念ながらかなり減ってしまっていますが、それでも数校残っている様です。2年間の大学なのでやはり学費も半分以下(トータル300万円台)が多い様です。
私自身は、本来日本の音大に4年間もかけて通うよりも、むしろ短大を卒業して、その後留学を考えるという方法がもしかして良いのではないかと思っています。
なかなか18の女の子がいきなり外国に留学というのも、いろいろと心配事は多いでしょう。短大を卒業してしばらく楽器店で講師の仕事をして、もし数年後にさらに勉強をしたければ留学する・・・これが様々な点から考えて一番バランスが取れているかもしれません。
(ただ注意しなければならない事は日本の短大卒は外国では大学卒業とみなさない場合があるので、入れる外国学校に限りは出てくる)
3、専門学校、もしくは楽器店傘下の講師養成学校に行く
金銭的には短大と同じくかからない方法でしょう。ただ問題なのは日本では音楽関係でも、なにかと学歴が重視される傾向が大きいのでいくぶん短大卒よりかは肩書きにおいて不利になる可能性がある。
ただ、音楽の世界ではとにかく自分自身の実力が一番便りになるので、あとは自分で様々な経歴を作っていく事により、十分この世界でやっていく事は可能だと思います。
4.最後に・・・
逆に言うと、これからの時代、4年生音楽大学は人気が出なくなる可能性があると思います。なぜなら、とにかく学費が高い!そしてこれからは留学や、 ●マハマ●タークラスのような専門コース卒でも、とにかく実力があれば、音楽の世界では認めてくれる世界なので(そこがこの世界の良いところ)何が何でも4年生音大という常識は薄れていくかもしれません。
私自身は痛烈に思うのですが、どうして音楽を勉強したい人がこうも多額の学費を必要とするのか?納得がいかないところではありますよ。
音大へ進むべきか、趣味にしておくべきか?〜私の持論〜
私は、自分の生徒に安易に音大へ進んでは欲しくありません。理由は、前にも述べた通り、甘くない世界ですから・・・ですから、生徒が音大へ進む、もしくは音大を目指すという場合、私は相当、慎重に判断をします。
何も音大へ行かなくてもピアノは「趣味」で習う事も可能なのですから。
まず、小学生低学年の子供を持つ親が「音大へ・・・」という場合、私はまず、冷ややかな対応でしか出来ません。なぜなら、それは、本人の意志ではなく、親の意志だからです。
もちろん、親がなんとか子供を音楽の道へと進めたければ、大学の名前を選ばない限り、それは可能でしょう。
しかし、それは、初めから、子供に音楽の進路しか与えていない状態にすれば、という事です。もしかしてその子供は他の分野でなくてはならない人材になるかもしれないのに、です。
実際、音大には親にしむけられて来た生徒がずいぶんいました。初めから、自分は音楽の道を行くと決まっているのだと・・・しかし、そういう生徒は音大へ入ると、(目標を達成したためか?)とたんに音楽の勉強をやめてしまい、卒業すると、音楽とは無関係な仕事に就く事が多いのです。それがはたして良い事かどうか・・・
私は、音大への道は本人が直接決めるべきだと思っています。おそらく本人が決める年令は中学生になってからでしょう。
しかも、音大へ行くにはその後、かなり厳しいレッスンが待っています。その厳しさといったら、私も経験しましたが、想像を絶します。
なんたって大好きなピアノが大嫌いにもなるのですから!
それでも、ピアノにしがみつく生徒しか、音大へは行ってはならないと思っています。おそらく、途中で挫折してしまう可能性も捨てきれないでしょう。そして、それがもし高校3年の時だとしたら・・・。
私には、自分の生徒がはたして音楽関係への進路が合っているか、行くべきか、行けそうか・・・は、決して簡単に判断は出来ません。
判断するとすれば、それは本人の演奏に気迫のある演奏があるかどうかです・・・そう、情熱があるかどうか・・・これがない演奏の場合、私の方から音楽への道は示さないし、そう要請されても、渋るでしょう。
内から湧いてくる何がしかの情熱、音楽、訴えなければ気がすまない、訴えずにいられない音楽、人に強烈にアピールしたい気迫・・・不思議な事に、自ら「音大へ行きたい」という生徒には、これがあるのです。逆に言えば、そういう演奏をする子は、やがて音楽への道を選択してくれると信じています。