5.手を卵型にすること自体が別に悪いわけではない。
なぜか?この業界では手を卵型にすることを”弊害”と考えて説明している動画や文章があるのですが、それは正しくないと思います。
さらに、どんな状況でも子供のうちから指を寝かせて弾くことを推奨している人もいるようですが、その意見にも私は同意できません。
結局は特に大人は、その場その場で使い分ければ良いだけのことだと思うのです。
特に小学低学年の子供の場合は長年の経験上、絶対的に手の形は「卵」で教えるべきだと思っています。
卵の場合、何が違うのかというと、単純に指が立つだけの話です。
指を立てると音が荒い音になって、よくない。だから卵型は”弊害”である。
なんでそうなるんですかね?
何度も言っていますが現代は21世紀です。もっと科学的な頭脳を持って欲しいのです。
指はその場その場で指を立てた方が良いことは数多くあります。
メロディーを弾くとは絶対的に指は立てないとはっきりした音が出ません。
それで音が出すぎたら、弱める・・・それでも対応できなかったら、いよいよ指を寝かす。
それだけのことです。
特に子供の指導においては絶対的に始めは”卵型”で指を立てて指導すべきです。
何故ならば子供は指がまだ弱いのです。
ただでさえ、弱くて大きい音が出ません。
そういう場合には、か弱き指から最大限のパワーを出さねばなりません。
これはもう、指を立てて弾くしか方法がないのです。
また、もう一つの私が指を寝かす指導をしない理由・・・。
これは大人でもそうですが、ピアノを弾く手、指には最低限鍛えなければならない筋力があります。
実際は主に腕の筋肉なのですが、指をしっかりさせる、指先が凹まないようにしっかりさせる筋力を鍛える必要性があります。
また手の形を一定のドーム型にする筋力も必要です。
それを初期の段階で鍛えなければならないのですが、寝かせてばかりだと、結局は寝かせる時の筋力がついても指を立てる筋力が育たなくなってしまう。
また子供の頃から寝かす指導ばかりしていると、その癖が付いてしまって、高学年になった時に指を立てる弾き方ができなくなってしまうのです。
これには苦い経験が過去に1〜2人いました。
それ以降はどんな時でも高学年でオクターブが届いて、ソナタ集に入る頃までは指を寝かす指導はしません。
もちろん重量奏法(重力奏法)は教えますが、ロマン派独特の弾き方の指導は私はしません。
もっとも、音色にこだわらせるために、部分的に寝かす指導をするのならわかるのですが・・・。