オカルト奏法とオカルト調律師。

現在のCS2という40年前のピアノを買った時にピアノがあんまり音が出なかったんです。

買った所で1回目は調律を受ける必要があったので、その時に来た調律師に色々聞いたんですが

「このピアノは倉庫に多分10年近く保存されていたから、今ようやくピアノが眠りから覚めたばっかなんです。木材がずっと眠っていたからまだ音が出ないんです。時間が経てばピアノが目覚めて音が出始めると思います」

とか言ってて・・・

この内容、あなただったら信用しますか?

信用する人もいるでしょう。でも・・・私は全く信じないです。

というより・・・そういうことを信じる人はダメです。

もちろん表現的には”文学的”で美しいですけど・・・。

実際、そのピアノはなぜ音が出ないのかは私が見て、分かってはいたのです。

ハンマーの弦に対しての当たりが悪いとか、アクションの調整がイマイチだとか、アクションピンの錆があるだとか。

そういうことをこの調律師は知ってて、お金がかかるから作業をするなと販売店から言われていたからしなかったのか?それとも本当にわからなかった調律師なのか?

いずれにしても「音が出ない」のは文学的にピアノが長い間眠っていたからではなく、それなりの原因があるのです。

それを探って直すのが調律師の仕事であって、そういうオカルトな話で納得させようとするのは詐欺に近い。

もちろん木材が湿っているから乾燥させるためにやや時間がかかるというのならわかるのですが・・・

「眠っている」訳じゃないですよ!(笑)気持ちはわかりますが。

同じように、某奏法団体もそういう詐欺に近い内容で騙しているようですが・・。

以前なんでも「昔、軍隊が大勢で行進していたらその足音で前方の石橋が壊れてしまった。おそらく足音の衝撃波が重なって石橋を破壊してしまったらしい。同じように、ピアノも弾いた後で周りの音をかき混ぜると衝撃波が生まれてそれが弦にあたって音色を変えることができる。ソビエトではそういう国家機密奏法を駆使していた」

などというお話を真面目に話していたんですがwwwwwwwwwww.

ありゃダメだな、あの連中の頭脳は。

そもそも行進の足音で石橋を壊すことができるんだったら、今頃ウクライナ軍が軍隊を行進させてクリミア橋を壊してるって(笑)

もしくはそういう秘密兵器をアメリカが開発して、ビルや古い橋を重機などで分解せずに楽に壊しているって(笑)。

そりゃダイナマイトなどでの破壊だったらわかりますよ?

もちろん爆破物はその空気の急激な膨張で破壊するわけだけど・・・人間の足音じゃね。

実際、ジェット機の衝撃音が窓ガラスを割ることはあるけど、流石に石橋は壊れない(笑)。

あと、

「奏者と聴衆は深層心理で繋がっているから、奏者の考えと聴衆は一致する。」

とかいいうんですが・・・単純に、奏者と聴衆の解釈が一致しただけ(笑)。

何も不思議でミステリアスなことはないです。

そもそもショパンが考えていた音楽は同じ人間なら理解できるだけの話。

そういうオカルトな話を信用してさらにピアノ奏法に結びつけるあたりが既に終わっている。

どういう内容であってもオカルトや迷信をピアノ奏法や音楽に結びつけてはいけない。

それじゃ生徒は伸びないです。というか、だからあそこは伸びない。