ピアノのレストア(弦+ハンマー交換)について
ピアノは再修理をすることによって、再生させることができます。
通常それをレストア、もしくはリビルトとも言います。
もちろん、ピアノのある部分が消耗もしくはへたってしまって、他のピアノに買い替えるという方法もりますが、なかなかピアノは高価です。
私は40年前の古いピアノを使っているのですが、今回私が、ヤマハのCS2という40年も前の機種のレストアを足掛け10年でやってみて、わかったことを述べてみたいと思います。
この機種は現在ではあまり見かけない機種なのですが、全長が2.5mのセミコンピアノです。
内容的には当時のCFというコンサートピアノの縮小版だと思うのですが、隣にCFを置いて弾き比べたことがないのでどの程度違うのかはわかりませんが、ホールではなく一般家庭の部屋ならばそれほどの違いはないかなとは思います。
約10年ほど前に中古で購入した時についでにレスローとゲーゲンというピアノ弦に交換してみたのですが、弦自体は交換してはみたものの、ものすごい差があったかというと、あまりわかりませんでした。
何せ狭い部屋なので、それほどパワーは要らないからなのか?
音質的にもすごく変わったかというと、確かに艶のある音に変わったな、とは思いましたが、それがものすごい差だったかというと、そこまでではなかった気がします。
ただ当時、今後ずっとのこピアノを使い続けるであろうと予測していたので、ついでにこの時期に交換してしまおうと思ったわけです。
ハンマーは1回削っていた様だったのでまだ使えるかなと思い、この時は交換していませんでした。
ピアノのハンマーは派手に長時間、弾き続けると5年と持たないし、理想の形、しいては音質が維持できない。
そして今回10年後にハンマーも交換することになったのですが、流石に10年もの間、派手に弾き続けるとあっという間にハンマーが減ってしまいます。
実際は多分5年ぐらいで限界に達していたのではないかと思います。
5年経ったあたりで、本来はまたさらに削るのが本来らしいのですが、削る量を極端に減らしたり、また削れて歪な形になって、ヘッドが平らになってしまっているハンマーを叩いて、山形になる様変形させる技を用いたりして、なんとか10年間、騙し騙し使ってはきたのですが、いかんせん音色に関しては正直末期症状で(汗)全く良い音が生み出しにくい状況でした。
これが果たして、ハンマーの劣化のせいなのか?それとも40年近く経ったピアノのせいなのか、判断できなかったのですが、かといってまた新しいピアノや中古ピアノを買うにはさらに資金がかかるので、とりあえずハンマーを交換してみることにしました。
今回はハンマーシャンク(棒)ごと交換しました。
ハンマー交換は業者によっては、ピアノを工房に持って行かずにその場で2〜3日で交換作業をする場合位も多い様ですが、私の場合は工房での作業を必要とするらしいので運びました。
最近の国産ピアノの音はひと昔とは傾向が違う。
ハンマーの種類は本来は純正が良いのかもしれませんが、当時の純正パーツは既になく、代わりに現在のヤマハのCFXのハンマーならあるのですが、これが少々問題のようで、最近のヤマハのハンマーは針刺作業を減らすコストダウンも兼ねて、初めから柔らかくしてあるので音質的には昔のCFの様な音にならないとのことで、外部メーカーのハンマーを取り入れることにしました。
確かに最近のヤマハピアノは昔と比べて傾向は違うと思います。
カワイもそうなのですが、おそらく一種の流行の様なもので、やや柔らかい音質が流行っている様です。
代表的なものは恐らくカワイのシゲルカワイだと思います。
昔の金属的な音と現在と、どちらが良いかということは一概には言えず、結局は好みの問題ではあるとは思います。
ちなみに私は昔のCF〜CF3Sまでの音が好みではあります。
好みというか・・・私自身の考えなのですが、硬い音が出やすいピアノであれば、ソフトペダルを使えば柔らかい音も作れると思うので、できれば幅の広い性能が私自身は弾きやすいと思うので、昔のタイプの方が気に入っています。
反面現代の特徴のピアノだと、鋭い音が出にくいので苦労するのですが、逆に言えば、現代のピアノの方が、容易に美しい音が出るので、それはそれで画期的ではあると思います。
経済的にピアノを維持したい場合はレストアを勧めます。
さて、ハンマーを交換し終わっての感想ですが・・・
完璧に昔のCS2音に戻りました。
成功だったと思います。
もちろん、完璧に製造当初と変わらない音質、音量かはわかりません。
ピアノには響板という、スピーカーのウーハーに当たる部分があり、これが経年劣化していくことは避けられないという話なのですが、一般家庭で弾く分には、私は全く問題はないのではないかと思いました。
トータルで考えると、弦とハンマーを一度に両方交換すると、微調整、整備関係もあるかとは思うのですが、多分70万円〜150万円で収まるのではないかと思います。
ちなみに70〜150万円という開きですが、150万円だからこれはぼったくりなのかと思いきや、そうではなくて、ピアノという楽器はさまざまなパーツからできているので、オーバーホールするときにダメになったパーツ、修繕が必要なパーツがあり、それらを事細かく修繕すると、150万円は軽く超えるということなんです。
特にアクションなどはかなり修繕するべきパーツがあり、それらをもし修繕しない場合、弦とハンマーは交換したけど、どうも鍵盤の動きが悪い、もしくはダンパーのフェルトが劣化していて、止音の具合が悪い、ということになりかねないのです。
しかし最大だと150万円ですが、150万円で現在新品のピアノが変えるのかというと、上級クラスになると、予算不足になります。
現在よりもさらにレベルの高い良いピアノが欲しいのなら、買い替えだとは思うのですが、現在所有しているピアノが気に入っていて、値段がかなり高いピアノであれば、やはりレストアを 選択した方が金銭的には節約になるかと思いますし、効果の程が心配ですが、思った以上に元に戻る可能性は高いと思っています。
もちろんレストア業者のレベルによる腕の違いもあるとは思うので、その辺りは吟味が必要ですが。
私は昔からプログレス
にお世話になっているので、ここで全ての修理を任せています。
現在のピアノはヤマハですし、40年経っているのですが、果たしてさらにあと何十年、交換だけで持つのかはわかりませんが、おそらくまだ20年ぐらい、トータル60年ぐらいは国産ピアノは間違いなくレストアで問題ないのだろうとは思います。