ピアノの音量は本当は重さではなく鍵盤の速さで音量が決まるのです!
ここの奏法では腕の重さの調節により音量を調節していますが,一方で鍵盤のアクション(つまりピアノの中の音を出す機械)が音量の決定、つまり大きい音や小さい音を出すかということは非常に単純な構造になっています。
あたかも鍵盤を力強く弾けば大きい音になると思われがちですが事実はそうではありません。
音の大きさは実は鍵盤の奥にあるアクションという機械の中のハンマー(弦をたたく機械)のスピードのみで決まります。
すなわち、鍵盤側では重い、軽いで音量の調節を行っていますが、重さを重くかけたからといって,それがアクションのハンマーに重さが伝わるわけではないのです。
実は重く重さをかける事が結果的には鍵盤を速く動かすことになり,それが結果的にハンマーを速く動かし,大きな音を出す結果となっているのです。
逆に軽い重さをかけた場合,鍵盤をゆっくり動かす事となり,強いてはハンマーがゆっくり動く結果となるのです。
つまり、鍵盤を通常強く弾く,というパターンやハイフィンガーにより鍵盤を打ち降ろすというパターンも結果的にはハンマーを速く動かして大きい音を出しているにすぎないのです。
ハイフィンガーでもピアノは弾けますが、残念ながら筋肉の疲労を伴いやすいのが欠点です。
曲の中で,重さのみではなかなか大きい音が出にくい場合、時として鍵盤を故意に引っ掻いたりして大きい音を出す事もあります。
実際上のような鍵盤を引っ掻くスケールの練習も大変大事な練習です。
もしも重さのみでは十分に音量が出ない場合、もしくは鋭い音を出したい場合などは,このような引っ掻く弾き方が有意義になります。
鍵盤は僅か50gの重さで沈むので、それ以上重さを掛けるのは無意味のようですが・・・
ある方から「鍵盤は50gで沈むのでそれ以上の重さを掛けるのは無意味なのでは?」というメールをいただいた事があります。
物理的には確かにその通りです。鍵盤を沈ませるには50gで十分です。
しかし、50gのみ、かけた場合は、上記の様にハンマーはゆっくりしか動きません。
よって、50gの場合はpppの音しか出ません。もちろん、pppを出すには50g以上載せてはいけません。
しかし、もし、より大きい音を出すには
- 50gの重さで今度は指を速く動かす。これによってハンマーが速く動いて大きな音になる
- .さらに重さを瞬時にかけて、それによりハンマーを瞬時に速く動かし、より大きい音を出す。
この2通りになります。
ちなみに1の弾き方の場合は、指を酷使して動かす為に、筋肉痛や酷い時には腱鞘炎になる可能性があります。
なので重量奏法(重力奏法)はこの2の重さをさらに掛けて弾くという方法をとっているわけです。