一般的にヤマハとカワイは相反する特性と思われているかと思います。
単純にヤマハは金属的なキンキン音で、逆にカワイは音が全然出なくてモコモコした音とかです。
おおかたその言い方は間違ってはいないのですが、近年はヤマハも柔らかい音を目指しているようですし、カワイは逆にやや硬質な音も出せるようになっているような気がします。
つまり、両社とも歩み寄っているような(笑)。
ただそれでもカワイとヤマハの違いは上記のようと考えて良いかと思います。
この特性は単純には多分・・・倍音の設定の違いなんだろうと思っています。
ヤマハは倍音をかなり発生させる設計にしてあり、カワイは抑える設計なんだろうと。
倍音というのは厄介なシロモノで、多ければ金属的な音になるし、減ればモコッとした音になります。
なので常にその中心に近い音あたりで演奏したいと考えるのですが、そのあたり、まるでカワイはハンマーが柔らかくて、ヤマハは硬いからそういう音なんだろう・・・というのは多分間違いだろうと思います。
(一部の某重力奏法指導者は倍音は全て美しい音である、と言っていますが間違っています。こちらを参照ください)
完全に設計的に両社とも違うんだと思うんです。
幼少の頃、実はカワイのグランドピアノ(KG3C)を持っていたんですが、やっぱり音は出なかったですね。
で、かなり弾き込んでハンマーがかなり硬い状態を維持していたんですが、カワイもハンマーが硬くなって、倍音がより多く発生する状態になると・・・やっぱりヤマハ同様、ひどい音になったもんです(笑)。
今は手元にカワイのピアノがないので、なんとも言えないのですが、ヤマハのピアノを見ていると、細かい部分まで、いかに倍音を増やそうか、という意図が見えます。
いろんなパーツが鳴っているし、やたら弦と響板も鳴りたがっている(笑)。
そういう面で、ヤマハは整備を怠ると、すぐに金属的な音になりやすいですね。
逆にカワイは多分、この時期、湿度が高い時期になると、もう全く音が出なくなるんじゃないかと。
なんかずっとソフトペダルを踏んでいるような感じ・・・というか。
ソフトペダルを踏んだ音って美しい音のように感じるんですが・・・
まあいわゆる倍音が極端に減っている状態です。
でも、ソフトペダルのような音ばっかりじゃ、それも困るんです。
曲を演奏すると、はっきりした音と柔らかい音との組み合わせで成り立っているんです。
なのでそういう面ではカワイだと困る時がある。
シゲルカワイなんかはショールームに置いてあるピアノはあまりそういう面はないのですが、一般家庭にしばらく置かれたものだとやっぱり音が出ない(汗)。
一体ヤマハとかワイ、どっちが良いんだ?・・・という意見ですが・・・。
私は・・・メンテナンスにお金がかかるけど、ヤマハの方がいいんじゃないか・・・とは思っているんです。
なんていうか・・・ヤマハはジャジャ馬スポーツカーみたいな感じだと思うんです。
とにかくスピードが出る。とんでもないぐらいパワーがあって運転が怖い。
なので、チューニングしてパワーがあんまり出ないようにセッティングをする。
それがヤマハなんです。
ただあまりにじゃじゃ馬ピアノなので、本当に整備を怠るとギャンギャンになりますが(汗)。
でも逆にカワイのように軽自動車からいかにパワーを絞り出せるかと言ったら・・・それはかなり無理がある。
パワーが出ないエンジンから出そうと思っても出ないのと同じく、音量、倍音が出ないように初めから設計されているのでそこからさらに出すことが無理。
無理をしてパワーを出そうとすると、歪んだ音になりかねない。
ここがカワイの問題なのかなと。
結局、パワーがある・・・つまりとんでもなく倍音が出るピアノをどんどん倍音を減らしていく作業をしていけば、落ち着いた音が作りやすくなる、ということだと思うんです。
ただ・・・それでもカワイの音とはまた違うので、カワイファンの独特の好みの音にヤマハがなるかどうかは分かりませんが。
ただですねえ・・・ここがよくわからないのですが、カワイもヤマハもフルコンになると、どっちも良く似ていますよ(笑)。
カワイのシゲルタイプのフルコンは触ったことはないのですがよく手入れをしてあるEXというタイプはヤマハのCF3Sとそんなに変わらなかったし・・・。
逆にヤマハのCFXは今までとはちょっと違って大人しい音で昔のカワイみたいな音なんですが、結局引き込んだピアノだとやっぱり昔のヤマハの音なんですよ。
今後、ブログで書くかどうかわからないのですが、グランドピアノの家庭での簡単な整備、メインテナンスで維持する良い音講座とかって・・・やろうかなと思っています。
20代後半の頃から今の調律師に出会って、色々とピアノのコンディションをあれこれやってもらってきた中で色々勉強させてもらったもんで、その辺りを説明できるといいかなと。